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2022.01.31
保険 防犯

火災保険が盗難被害も補償するってホント?空き巣対策への準備

火災保険は盗難被害も補償できる

目次

 

多くの人がマイホームを購入するときに火災保険の加入を検討し、万一の時に備えて契約しています。

損害保険料率算出機構が公開している、火災保険・地震保険の概況(2020年度版)では、2019年度の新契約は1,300万件以上です。

出典: 火災保険・地震保険の概況|損害保険料率算出機構

ただ火災保険という名称のためか、保険に加入しているほとんどの人は、火災による被害のみの補償と誤認している可能性は少なくありません。
火災保険は火事で家が燃えたときのみの補償しかないと思い込んでいませんか?

現在の火災保険は火災事故の他に、風災・水災・水漏れ・盗難・車両の衝突などにおける損害に対して幅広くカバーします。

今回は、特に盗難の補償について紹介することにします。

盗難被害の補償

侵入窃盗、つまり盗難は平成15年以降年々減少傾向ですが、令和2年は4万4,093件、現在も一日当たり約58件の被害が発生しています。
侵入の手口を調べると約1/3が空き巣によるものです。

どうやって侵入したのかについては、

  • 無締まり(無施錠):52.8%
  • ガラス破り:29.8%

この2つが際立っています。

参照:住まいる防犯110番

また、聞きなれない言葉かもしれませんが「居空き(いあき)」といって、家に人がいる状況で盗難に遭うケースも増加しています。

火災保険ではこういった盗難被害を補償することが可能です。
被害に遭われた際は、ただ泣き寝入りすることのないよう、盗難も補償できる火災保険に加入していなかったかどうか、今一度、保険証券を見直してみましょう。

火災保険上の盗難とは

火災保険では、盗難はもちろんのこと、盗難によってモノが壊されたり、汚されたりした場合でも補償の対象です。
窓ガラスや鍵が壊されたけれども何も盗まれなかったといった盗難未遂の場合でも盗難事故として補償の範囲に含まれます。

火災保険でカバーできる盗難被害の補償の対象と範囲とは

補償の対象と範囲

一般家庭の場合、特にマイホームにおいては「建物」と「家財」を対象として契約することが多いです。
建物のみ、あるいは家財のみのケースでも間違いではありませんので、それぞれの補償範囲について紹介しておきます。

建物のみの場合

保険の対象の建物とは、住居として使用されている建物自体の他に、門扉・塀・垣・車庫・物置等も含みます。

建物のみの契約の場合、家財が盗まれても補償の対象となりませんので、注意が必要です。

補償対象例)

  • 空き巣に入られて窓ガラスやドアを壊されてしまった
  • 泥棒がリビングに侵入した際に床を汚されてしまった
  • 玄関に固定している防犯カメラをもぎ取られてしまった

家財のみの場合

家財とは保険対象の建物の中にある生活用動産のことを指します。
家財を保険の対象として契約している場合、盗難被害を受けた家財に対して保険で補償されます。

補償対象例)

  • 空き巣に入られて現金を盗まれてしまった
  • 居空きでパソコンや洋服を盗られてしまった
  • 車庫に置いていた自転車が盗まれてしまった

ただし、自分の所有している動産のすべてが補償対象になるわけではありません。
誤りの多いケースを次の章で紹介しますが、保険会社によって補償内容は様々ですので、契約している保険の約款を確認してください。

家財の注意点

あくまでも家財は建物内に収容されている生活動産のことを指し、敷地外に置きっぱなしにしていた物までは補償することはできません。
前述したように自転車、さらには原付バイクも家財に該当します。

これらが盗難被害に遭ったならば補償は可能ですが、あくまでも家財とみなせる場合に限られるため、建物に収容されていることが必須条件です。

建物への収容とは、玄関、車庫、庭など、敷地内に置いている状況を指します。
また現金や預金証書においては、保険金額の上限が設定されているため、満額補償されないこともあります。

一定の金額、相場としては30万円を超える高額な貴金属や美術品等は、契約時に事前に申告し、高額貴金属の補償については別途特約等で保障の幅を拡大すると良いです。
なぜならば、30万円を補償の上限とするケースが多いためです。

なお、在宅勤務やテレワークの長期化によって、部屋の一角を仕事場として使用する際の設備什器類や商品については、家財には含まれない可能性があるため、心配ならば保険代理店等に問い合わせてください。

火災保険でカバーできる盗難被害の給付手続きの方法

盗難に対する給付手続き

もしも盗難の被害者になった場合は、どのような手続きをするとよいのか、警察への通報・報告から保険会社の手続きまで説明します。
さらには、万一、当事者となってしまった場合の行動や注意点なども合わせて紹介します。

ポイントのひとつとしては、盗まれたもの、壊されているところなど、できるだけ落ち着いてチェックし、メモまたは捜査に影響しない範囲での写真などです。
保険請求のための証拠を記録することを念頭に置いてください。

一般的な流れ

盗難被害に遭ったならば、真っ先に行うことは警察への通報です。
通報が早ければ早いほどスムーズに処理が進みます。

警察が到着するまでは自宅内の物に触れず、警察に手によって自宅内を捜査してもらうことが先決です。

恐らく警察からの助言で盗難届の提出を促されますが、受理されると受理番号が発行されます。
保険請求においては受理番号の報告が必要のためメモしておきましょう。 

また、家の中が荒らされている様子や、割れた窓ガラス、壊された物がある場合は必ず写真撮影を。
早く片づけたい気持ちは理解できますが、前述したように、保険請求するにあたっては損害が確認できる写真、つまり証拠が必要になります。

警察の捜査が終わり、落ち着いた段階で保険会社へ連絡をしてください。

保険会社との対応

保険会社は、

  • いつ
  • どこで
  • 何が盗まれて
  • 誰が気づいたか
  • 受理番号

など、時系列や具体的な被害内容の質問によって情報を収集します。
警察へ提供した内容と重複することもありますが、時系列や被害内容については、できるだけ正確な情報を伝えることが肝心です。

壊れたものについての写真と見積書、盗られたものについての被害リスト、盗られたものを実際に所持していたことがわかる立証書類などの提出を求められます。
立証書類とは、例えば購入時の領収書や保証書等が挙げられます。

万一、立証書類が見つからない、あるいは紛失等で提出できないのであえば、購入店から購入記録となる書類の発行を問い合わせることです。

洋服やブランド品であれば、身に着けている写真を提出する方法もあります。
手元にあったものが無くなっているという証明が必要なため、ある程度の証拠を保険会社に提出しなければ補償が難しくなります。

かなり面倒ではありますが、被害品と被害金額について問題がなければ、晴れて保険金の支払いとなり、手続きは終了です。

盗難被害を防ぐための防犯対策や空き巣の対策とは

空き巣対策

前述したように、空き巣被害の原因は、無施錠とガラス破りが大半であることを、統計数字を引用して紹介しました。

ガラス破りには、こじ破り(※)も含みます。
※こじ破り
クレセント錠の近くにドライバーなどでガラス窓に小さな穴をあけ、手指を入れで開錠する

玄関や窓が施錠されていなかったために侵入されるケースもありますので、基本的なことになりますが、まずは戸締りの徹底を。
被害に遭いやすい家には、以下のような特徴がありますので、参考になれば幸いです。

  • 不在であることが外から見て明確である
  • 玄関や窓が開けっ放しになっている
  • 垣根が高い、植物が多いなど、遮蔽物がある
    (中から外の様子が見えないと侵入が察知しにくい)
  • 窓に目隠しがついている
    (上記と同様の理由)
  • 防犯カメラやセンサーライトがない
  • 防犯意識が低い
  • 窓や勝手口が多く侵入経路がたくさんある

戸締りをきっちりすることは大原則としたうえで、次は、空き巣の予防策を建築プランの観点から紹介します。

建築プランでの予防策

玄関に防犯カメラやセンサーライトを設置します。
見えていることで、泥棒にとっては抑止力となり、非常に効果が高いです。

あえて道路から見えにくい死角に防犯カメラを設置することで、泥棒を映像に捉える確率を高めることもできます。

センサーライトは視界が悪い場所に設置することで、危険を察知することに利用できます。

玄関や窓の鍵を強化することで、侵入時間を引き延ばすことも有効です。
侵入に時間がかかると、泥棒は焦りや諦めの気持ちが沸き起こり、被害を予防することに貢献します。

特に玄関の鍵は2個にしておくのがマストです。

鍵もできれば指紋や顔での認証など、容易に開錠しにくい複雑なものであればなお良しです。

庭がある場合は砂利を敷き詰めて、歩行時に音が出るようにしておきます。
侵入時に音がする家は泥棒から非常に嫌がられます。

庭が広い家は、芝生より砂利を敷き詰めて予防しましょう。

最後は費用との兼ね合いになりますが、セキュリティサービスや警備保障の会社と、何かあったときにガードマンが駆けつけてくれるサービスの利用も検討の余地ありです。

特約で盗難被害後をカバー

盗難の再発は是非とも防ぎたいところです。
保険会社が提供する再発防止メニューを選べば、手配から費用の支払いまで、全て対応してくれる特約などもあります。

ただし保険会社によって同等の特約の有無、あるいは内容に違いがあるため、詳細は保険代理店などへ相談をしてください。

一般的には、費用の請求期限や上限額が設定されていることがほとんどです。

それを踏まえて検討してください。

火災保険でカバーできる盗難被害についてや空き巣対策など

まとめ

火災保険の盗難補償は、万一の泥棒や空き巣被害に遭った時の備えになります。
盗まれた物の補償だけではなく、盗難によって壊されたガラスやドア、さらには盗難未遂の場合でも補償を受けることが可能です。

今から火災保険を契約される方は、保険料と万一の時の被害額を見積もって盗難補償を検討してみてください。
特に警備やセキュリティの備えが十分でない一軒家に住んでいる方や、高額な家財を自宅に置いている方は盗難補償の付帯があれば安心です。

また、すでに火災保険に加入している場合は、盗難は補償されているのか、補償されているのであえれば補償範囲や上限額はどのように設定されているのかを、今一度見直すきっかけとなれば幸いです。

補足

本記事では、あくまでも火災保険に関して一部を紹介したに過ぎず、情報の正確性を担保するものではないため、一切の責任は負いません。

よって具体的な相談等は、損害保険会社または損害保険代理店へ、お願いします。